「また始まった…」「どうしてうちの子だけこんなに癇癪がひどいの…」
多くのパパやママが悩む“イヤイヤ期”。特に、急に泣き出す・叫ぶ・物を投げる・寝転んで大暴れするなど、癇癪(かんしゃく)とも言える行動が続くと、親の心は消耗していく一方です。
でも、実はこの「イヤイヤ期」や「癇癪」は、子どもの心と体の発達にとってとても大切なプロセス。
この記事では、子育ての専門家の視点から見た“癇癪の正体”とその向き合い方を、今すぐ実践できる方法とともにご紹介します。
イヤイヤ期とは?癇癪はなぜ起こる?
■ イヤイヤ期の正体は「自我の芽生え」
1歳半〜3歳ごろに訪れると言われるイヤイヤ期。これは、「自分でやりたい!でもうまくできない!」という気持ちの葛藤が爆発している時期です。
たとえば…
- スプーンを使いたいけど上手く食べられない
- 自分で靴を履きたいけど左右が分からない
- 遊びたかったのに急にお片づけになった
こうした“できない・思い通りにならない”体験が積み重なって、子どもはどう感情を処理していいか分からず、癇癪という形で発散します。
専門家が語る「癇癪=成長のチャンス」
心理学や発達学の専門家の多くが口を揃えて言うのが、
「癇癪は発達の証であり、成長のチャンス」ということ。
子どもは、言葉や論理で気持ちを整理する能力が未熟なため、泣く・叫ぶという“本能的な表現”でしか、自分の想いを伝えられないのです。
これは、**感情のコントロール力を育てる“練習の場”**でもあります。だからこそ、親の対応次第で、その子の“情緒の土台”が大きく変わってくるのです。
癇癪に振り回されないための5つの心がけ
① 感情に巻き込まれず、まずは“安全確保”
子どもが大声で泣き叫んだり、物を投げたとき、まず最優先すべきは「安全」です。
🔸チェックポイント:
- 周りに危険な物はないか?
- 床で暴れてケガをしないか?
親自身がイライラしてしまうと、つい怒鳴ったり無理やり押さえつけたくなりますが、まずは“落ち着くこと”が最優先。
② 「ダメ!」よりも「〜しようね」の肯定ワードを使う
「ダメ!」を連発すると、子どもはますます反発します。
🔸NG例:「泣かないの!」「静かにしなさい!」
🔹OK例:「泣きたいよね、でも一緒に深呼吸してみようか」
否定ではなく、共感と提案のワードを心がけると、癇癪は徐々に短くなります。
③ 子どもの感情を“言葉にして返す”
癇癪中は、子ども自身も「なんでこんなに怒ってるのか分からない」ことが多いもの。そんな時は、親が言葉で整理してあげることが大切です。
🔸例:「おもちゃで遊びたかったんだよね。でも片付けの時間になって悲しくなっちゃったんだね」
こうした“気持ちの代弁”が、自己理解と感情コントロールの練習につながります。
④ 落ち着いてからこそチャンス!次につながる関わりを
癇癪の真っ最中に「こうすれば良かったのよ!」と説明しても、子どもには届きません。
✅落ち着いたタイミングで
「さっきは悲しかったね。じゃあ次はどうしようか?」
と、一緒に“解決策”を考える時間を持つと、次の癇癪予防に。
⑤ 親自身の“余裕”をつくる工夫を
毎日の癇癪に疲れきってしまっては、良い対応はできません。
時には「もう無理!」と泣きたくなるのが普通です。
🔸だからこそ必要なのが、「親自身のストレスケア」。
- 一人でお茶を飲む5分を確保
- 夫婦で交代して外に出る時間を作る
- SNSやママ友と共感を共有する
**“自分を責めずに、少し甘やかす”**ことも大事な育児です。
Q&A:よくあるイヤイヤ期・癇癪の悩み相談
Q1. 公共の場で癇癪を起こされたらどうしたらいい?
👉 まずは「落ち着く場所」へ移動を。 周囲の目が気になるとは思いますが、できるだけ子どもと二人になれる空間へ移動し、静かに寄り添いましょう。謝罪はその後でOK。
Q2. 癇癪があまりに激しく、物を壊したり噛んだりします…
👉 危険行動には一線を引きましょう。
「あなたが嫌いだから注意するんじゃないよ。ケガすると心配だからダメなんだよ」と、行動と人格を切り分けた注意を心がけてください。
Q3. 癇癪が毎日のように続いて本当にしんどい…
👉 それはあなたが頑張っている証拠です。 相談できる人がいなければ、自治体の子育て相談や支援センター、専門機関(子育てカウンセラー・臨床心理士)などを頼るのも立派な一歩。**「一人で抱えないこと」**が何より大切です。
まとめ:癇癪は“成長”の合図。完璧じゃなくていい
癇癪やイヤイヤ期は、確かにしんどい。でもそのたびに、子どもは自分の気持ちと向き合い、少しずつ言葉や行動で表現できる力を育てています。
あなたの関わり方一つ一つが、子どもの“心の土台”を作っています。
そして何より、「癇癪に振り回されている」と感じるあなたも、間違いなく頑張っているママ・パパです。
どうか無理せず、時には周りの手も借りながら。
少しずつ、少しずつ、一緒に育っていきましょう。